アーノルド・ベネット氏による名著『自分の時間』を読んだ。
そこにはこんな感じの一説が書かれていた。
1日にたったの30分を活用するだけで、週3時間半、月15時間、年180時間が捻出できる。
こういう、いわゆる”チリツモ”的な考え方はよく耳にするものであるが、
ここであなたは、30分を「たった30分」と思うのか「30分も」と思うのかどちらだろうか。
わたしは「30分も」と思う側である。
なぜなら、30分という短い時間であっても、
これまでその30分の中で必ず何か別のことをしていたのだから、
30分何かを始めるということは30分何かこれまで当たり前にやっていたこと(習慣)をやめないといけないということだからだ。
何か新しいことを始めるだけなら簡単かもしれないが、それと同時に何か当たり前にやっていたことをやめなければならないとなると、そう簡単ではないと思う。
人間は元来、「変わるのを嫌う」保守的な生き物である。
これを克服して、これまでの習慣をやめ、新しい習慣を取り入れるにはどうすればいいだろうか。
それは、本当に小さすぎて意味ないだろうと思われるくらいの馬鹿げた変化から始めることだと思う。
「世界を変えたければ、ベットメイキングをせよ。」
というのは米海軍将校が語った有名な格言であるが、
人は大きすぎる目標を立てると、大抵の場合失敗して意欲を失ってしまう。
数日続いたらそれはすでに奇跡的であり、大抵は1ヶ月も続かずに辞めてしまう。
しかし周囲から馬鹿にされるくらい、本当に意味の無さそうな小さな変化であれば、人は意外と小さなエネルギー障壁で継続することができ、
人は馬鹿なので気づいたらそれが当たり前になっているのである(これが習慣)。
例えば、晩酌をやめたいのであれば「今日から一切お酒を絶つ!」というのは絶対にやってはならない。
夜のお酒がやめられないのであれば、ビール一缶を発泡酒一缶に変えてみる。
発泡酒ばかりで飽きてきたから、たまにワインの日を挟んでみる。
ワインの美味しさに気づいたから、少し高いワイングラスを買ってみたり、つまみに高級チーズを買ってみたりして一杯のワインにこだわってみる。
慣れてきたから、かっこつけてワインを飲みながら本を読んだりしてみる。
本を読むようにしたら意外と面白くて、前よりも寝つきが良くなった。
こんな感じで、一行一行の変化は断酒と関係無さそうに見えるが、気づいたら晩酌の習慣が読書の習慣に変わっていた、ということが起こるのが理想なのではないか。
自分を変えたいと思ったら、
たいそうな目標を立てるのではなく、
滑稽と思われるような小さな変化を起こしてみる。
わたしはこれを実践していきたいし、あなたもこれを実践してみてはどうだろうか。
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